死作――詩に至る病としての/ただのみきや
 
どうしようもないこと

絶望を綴ることに何の意味があろう
だが綴ることで絶望は虚構に変わり
また綴ることで希望すら捏造し得るのだ
詩は演劇性を持つ  
演劇は祭儀であり呪術である
詩作への没入は一種のもの狂いであり
恍惚とカタルシスをもたらす
だが書き上げてもなお
浄化し切れない何かが残る
だから繰り返されるのだ
聖と俗を繋ぐものとして

 

感性のまま書いたつもりでも
背後霊のように理性は写り込んでいる
そして理性もまた隠蔽された感情の
リードで巧みなステップを踏むのだ
素敵な読み手目線 よそ行きの真実で

詩作は快楽であり苦痛である
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