ロスケ/TwoRivers
やって逃げたのか、記憶は全く残っていない。
9月12日。国後島は比較的穏やかにソ連軍に占拠されていた。
ソ連軍が島民の生活にも馴染み始めた頃、
祖母の小学校に乗り込んできた軍が、
教室に掲げられていた天皇の御真影を壁から引きはがし足蹴にした。
北海道への引揚船がソ連軍に撃墜される事件も発生していた。
(三船殉難事件 犠牲者1708人)
命からがら引揚船で脱出した両祖母の一家。
港に到着してからの記憶は、
「日本人だよ!日本人だよ!」
という日本軍の励ましの声。
その安心の涙を流したところで終着する。
時代は令和。
紋別沖での衝突、沈没事故。稚内沖での拿捕。
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