竹と朝顔/板谷みきょう
 
「おばあちゃんの生まれるずうっと前にはね。月のお姫さまが、産まれたこともあったのですよ。驚いたでしょ。それに、おじいちゃんが子どもの時には、枯れ木に花を咲かせて、村中が大騒ぎになったこともあったのです。」
そうして、竹は育ってくるうちに経験したこと、ここに来るまでの旅のことなんかを話し続けました。

朝顔は、静かに耳を傾けて、聞き入ってしまいました。
暫くの時が経ってから、ふと竹は、思い出したように
「朝顔さんは、一体いつ咲くのですか。」と
ちょっと小声で、囁くように言いました。
朝顔は、顔を赤らめながら
「今朝、陽が昇ると同じ頃に…」と
本当に、小さな声で、答えました。
「ほ
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