竹と朝顔/板谷みきょう
 
「ほう。」
竹は、ちょっぴり偉そうに言いました。

それからは、時が静かに流れていきました。
時々、竹が気まずそうに、「コホン。」と小さく咳をしました。

星は、そんなありさまを黙ってほんの少し、微笑みながら、眺めています。夜風が、ちょっとからかって、朝顔の葉を、カサカサいわせて通り過ぎていきました。

その間も朝顔はうつむいて顔を真っ赤にしていました。

陽が昇りました―――

綺麗な、本当に綺麗なお日さまです。

見ると庭には、紫色のはずの朝顔が、ちょっと恥ずかし気にうつむいて、小さな薄桃色の花を咲かせておりました。

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