詩の日めくり 二〇一六年六月一日─三十一日/田中宏輔
よい。寝るまえに、つづきを読んで寝よう。たぶん、この短篇集を買ったのは、ハインリヒ・ベルのすばらしい短篇が『Sudden Fiction 2』に入っていたからだという記憶があるのだが、どうだろう。目のまえの本棚にあるので調べてみよう。あった。「笑い屋」という作品だった。きょう読んだ「橋の畔で」もわずか4ページ、「別れ」も6ページきりの作品だった。
ハインリヒ・ベルの「知らせ」という短篇を読んで思いついたコントである。このように、すぐれた著者は、読み書きする人間に、よいヒントを与えるのである。ちなみに、「知らせ」は、戦友の死を遺族に知らせに行く男の話である。
マンションの5階では、独
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