詩の日めくり 二〇一六年六月一日─三十一日/田中宏輔
ないのだった。日付自体ないものはあるけど。)」
女装のひとから、花名刺なるものをもらう。
その女装の人とは、もう20年以上前から顔を知っていて
ときどき、話をする人だった。
ぼくより6才、上だって、はじめて知った。
その人は、男だから、本来は花名刺って
芸妓が持つものなのだそうだが
花柳界ではその花名刺なるもの
細長い小さな紙に
上に勤め先の場所
たとえば祇園とか
店の名前とかが書いてあって
下に名前を書いた簡単なものなのだけれど
客が喜ぶのだという。
芸妓からもらうと。
芸妓って、もと舞妓だから
「お金が舞い込む」というゲンか
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