詩の日めくり 二〇一六年五月一日─三十一日/田中宏輔
いる
二〇一六年五月二十六日 「ミスドで、コーヒーを飲んでいた。」
さいきん、体重が減って
腰の痛いのがなくなってきた。
もう一個ぐらいドーナッツ食べても大乗仏教かな。
カウンター席の隅に坐っていた女の子の姿がすうっと消える。
ぼくの読んでいた本もなくなっていた。
テーブルの下にも
どこにも落ちていなかった。
ぼくはコーヒーの乾いた跡を見つめた。
口のかたちのコーヒーの跡も、ぼくのことを見つめていた。
ひび割れ。
血まみれの鳩の死骸。
二〇一六年五月二十七日 「巨大なサランラップ」
巨大なサランラップでビルをくる
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