詩の日めくり 二〇一六年五月一日─三十一日/田中宏輔
 
火のなかで
木歩を背負ったエイジくんは
すすけた顔から汗をしたたらせながら
ぼくの前から姿を消す
預言者のダニエルは
燃える絵のなかで
四つの獣の首をつけた
回転する車の絵とともに姿を消す
雪つぶて
ディス・アグリー・ファイス
酔っぱらった
ぼくには
音楽しか聞こえない
「俺のこと
 たなやんには、そんなふうに見えてるんや」
雪つぶて
ふたりきりの雪合戦
燃える火のなかを
預言者ダニエルが
ぼくの顔を見据えながら歩いてきた
エイジくんの姿も
木歩の写真も
消え
明かりを消した部屋で
音楽だけが鳴っている
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