詩の日めくり 二〇一六年五月一日─三十一日/田中宏輔
で
カーテンを開けようとしたら
カーテンが、針金で縫い付けてあったの。
で
わ〜
って声をだして
カーテンをその縫い目から引き千切って
左右に開けたの。
手には、布の感触と、針金の結びつづけようとする強い力の抵抗もあった。
で
ようやく開けたら
部屋のなかで、なにものかが動く気配がして振り返ったら
玄関が開いていたの。
見たこともない玄関だった。
えっ
と思うと
その瞬間
ぼくは自分の部屋の布団のなかにいたのね。
ひと月くらい前にも、こんなことあったかな。
日記に書いたかもしれない。
でも、きょうのは
15年くらい
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