詩の日めくり 二〇一六年五月一日─三十一日/田中宏輔
の実感がつづくかみてみようと思っていると
ぼくの右の耳たぶを舌のようなぬれたあたたかいもので舐め出したので
ええっ
っと思っていたんだけど
ものすごくじょうずに舐めてくるから
どこまで〜
と思って目を開けたら
人影がなかったのね
でも、ぼくの上にはまだ重たい感じがつづいているから
立ち上がろうとしてみたら
立ち上がれなくって
明かりをつけようとしたら
手のなかでリモコンが
その電池のふたがあいて、電池が飛び出して、ばらけてしまって
でも、めっちゃ怖くなってたから
重たい身体を跳ね上げて
立ち上がって
明かりをつけられなかったので
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