詩の日めくり 二〇一六年五月一日─三十一日/田中宏輔
海道にお住みなんだね。遠い。ぼくは、いちばん北で行ったことがあるのは、山梨県だったかな。大学院生のときに学会があって、行ったのだけれど、夜に葡萄酒をしこたま飲んだ記憶しかないかな。海東セラさんの「仮寓」という詩に書かれた「道が違えば」という言葉に目がとまる。目だけがとまるわけじゃない。ぼくのなかのいろいろなものがとまって、動き出すのだ。詩を読んでいると、目がとまって、いろいろなものが動き出すのだ。けっきょく、詩を読むというのは、自分を読むということなんだろうな。いや、いろいろなことが、ぼくの目をとまらせるけれど、その都度、ぼくのなかのいくつものものがとまって、動き出すんだな。そのいろいろなことが、
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