ガラスの精進/ただのみきや
の水仙に見下ろされ
ゆっくり泳ぎ出す
添えられたルビが
寒天質の渦を巻いた
神殿の周りは黒焦げで満ちていて
ヒマラヤのような頬骨から
火の付いた朝刊が配られていた
雲雀たちは雲にすっかり溶け
巨人たちの脳も雲に溶けている
神々の持っている物差しより
彼女の比喩は冗長だったから
わたしは胡桃を割って
欲望の雛を盗み出すしかなかった
それに手足が生えそろう頃
乾いた祈りを喉に詰め
菩薩のような顔で窒息した
蛙の声だけが
ピアスのように唇から離れなかった
天気雨に包まれて
稲光がノイズを呼び起こす
空の何処かで輪になって踊っていた
真っ赤なオタマジャクシの群れが
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