ガラスの精進/ただのみきや
 

鏡に映った己を複眼で捉えては
ガラスの向こうにある
形而上の光の迷宮
宇宙の時間を遡る
「原因とは結果である」
ガラスの太陽に焼かれながらそう思う





よく晴れた金魚鉢だ
視線に喘ぐ
魚たちの息は燃え
溶け混じる顔 顔
顔の中の螺旋を
金魚は球になる
わたしの心臓のよう
見開いたまま何も見ず
一点の死角へ
仰向けに身を投げる
花のような問いが
輪廻する
指先から虚空へ
震えながら逃げて行く
冷たい波動





雲雀たちに混ざって空の何処かで
蛙が鳴いている
そうした蛙の青い影だけが
植え込みの水
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