詩の日めくり 二〇一六年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
ィジョンが消えたのだが
意識のほうなのか
それともヴィジョンのほうなのか
弁別するのは難しいが、明らかにどちらかが
あるいは、どちらともが
複数の時間のなかに存在していたことになる。
ぼくは夜のなかに夜をつくった。
河川敷の地面がとても明るかった。
ぼくは立ち上がった。
見上げると二つの満月が空にかかっていたのだ。
ふと、ひとのいる気配がして振り返った。
そこには、目を開けてぼくを見つめる、ぼくがベンチに坐っていたのだった。
右のようなシーンは前にも書いていたけれど
このあいだ読んだ、だれだったかな
イアン・ワトスンだ
彼の言葉をヒントに
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