詩の日めくり 二〇一六年四月一日─三十一日/田中宏輔
と
「する」という動詞を
読み手は思い浮かべる。
では
バラはヒキガエル
だったら、どうか。
道を歩いていると、フェンスの間から
バラのように咲いているたくさんのヒキガエルがゲコゲコと鳴いている。
あるいは
ヒキガエルのように、ピョンピョン跳ね回るバラの花が川辺のそこらじゅうにいる
みたいなことを、思い浮かべる読者がいるかもしれない。
ぼくが、そんなタイプの読み手だけど
省略技法が発達している俳句や短歌や詩では
この暗示させる力がものをいう。
隠喩ですな。
あまりに頻繁な省略は
読み手に心理的な負荷を与えることにもなるので
てきとう
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