詩の日めくり 二〇一六年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
見直しというよりも、知らない詩人の作品を読んでいるような気がするからなのだが、随所にでてくる書いた記憶のないフレーズが新鮮で、まさに自分自身を驚かせるために、ぼくは書いているのだなと再認識した。


二〇一六年四月十九日 「省略という技法について」


バラはバラ
と書くと
この助詞の「は」はイコールで
「だ」とか「である」という言葉を
読み手は補う。
「だ」や「である」は、文法的には動詞ではないのだが
なんだったかな
形容動詞だったかな
忘れた
まあ、しかし
たとえば
バラは切断
あるいは
バラを切断
バラに接木
と書くと
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