ただ、風に揺らぐように/ホロウ・シカエルボク
なっていった、ステージの中央に立って、さっき歩いてきたところを見下ろした、足元が歪み、揺れるような不安定な感じがあった、どこにも繋がっていないところへ落ちるのではないかという不安が巻き起こった、けれど動かずにじっと立っていた、世界はきっと便宜的に実存を余儀なくされている、確かにそこに在るというものなど本当はひとつもありはしないのだ、そうだよな、とそこに集まっているなにかに思わず話しかける、窓であった空間からこちらを覗き込んでいる木の枝が、嘲笑するみたいに束の間かさかさと揺れた、ふらつきながら舞台を去り、一階へ戻ると、嘘のように空気は静かになった、目に見えるものばかりを信じるのは愚かだ、だけど、目に
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