ただ、風に揺らぐように/ホロウ・シカエルボク
 
た、水滴にも意思があって、人間が見上げている間は落ちてこないのかもしれない、広場の一番奥にはステージのような空間があった、どこかの野外劇場のような殺風景なステージだった、そちらに向かって歩いていくと、空気に少し圧力のようなものが感じられた、目に見えるものはなにもないのに、なにかで満たされている、そんな感じだった、そういう感じがする場所というのはたまにある、こうした、かつて人が集う場所であったもの、あるいは、居住区、それから、大型家具店の、ソファーやベッドなんかを売っているスペースには、必ずそういう感じがする場所というのがある、ステージの脇に回ると数段の階段があった、そこを上るとさらに圧迫は強くなっ
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