愚の原石/ただのみきや
 
れた耳で
太陽と風は石化し
サイコロは一斉に瞑目する
今にも殺されそうな服を着た
金色の午後は竿の先に引っかかったまま
髭剃り後の静かな月のよう
手触りのないナイフが
水の上で狂い出す
欲しいのか
もっと欲しいのか
揺らめく油膜から
空は散弾を浴びせかける






肖像

桜や木蓮は黙ったまま開き
樹々の芽吹きは息のように淡い
川は光を奏でている延々 
同じ旋律と手拍子で

風はまだ少し冷たく
時折ごうごうと耳孔を覗き込む
微かに霞んだ青空へ
血のような

一滴の情念――
すぐに煙のよう
ほどけ うすめられ

窓硝子に迷
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