愚の原石/ただのみきや
に迷い込んだ顔
覚醒剤と睡眠薬がせめぎ合うような
春は立ったまま頬杖をつく
ひょう
手稲山はまだ雪を残している
万年雪という訳ではないから
それももうまもなくだ
ものごと早いか遅いかを
不平等だと思うより
昔気質に定めとか運命とか
民主的ではなく
平均的でもない
現われては消えて行くものたち
見つめられ惜しまれる花
知られないから惜しまれない花
なにも惜しまない花
生は死の縁飾り
ささやかな諦念の紅を差す
美の倒錯に揺らいでばかり
――たったいま雹(ひょう)が降った
開いたばかりの桜の上に
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