詩の日めくり 二〇一六年三月一日─三十一日/田中宏輔
 

現実である以上、存在するものである。
したがって
虚無もまた現実であり
存在するものであり
あるいは
存在する状態なのである。


二〇一六年三月十六日 「要素」


 何年かぶりで、ぎっくり腰になってしまった。痛みどめをのんで塾に行く。ひさしぶりに、エニグマを聴く。ヒロくんと出合ったときの曲。「Return To Innocence」

 荒木時彦くんから詩集『要素』を送っていただいた。秀逸なアイデアと、そのアイデアを支える確実な叙述力。使われているアイデアは、ぼくがはじめてお目にかかるものだ。ここにまで到達した詩を書く詩人は、これまで日本のなかには
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