詩の日めくり 二〇一六年一月一日─三十一日/田中宏輔
 
。(ウンベルト・エーコ『前日島』第28章、藤村昌昭訳、384ページ)


二〇一六年一月十二日 「めぐりあう言葉、めぐりあう記号、めぐりあう意味」


 塾に行くまえに、お風呂に入って、カニンガムの『めぐりあう時間』を読んでいた。さいしょにウルフの自殺のシーンを入れてるのは、うまいと思った。文章のはしばしに、ウルフの『ダロウェイ夫人』や『灯台へ』に出てきた言葉づかいが顔を出す。まだ33ページしか読んでないが、作家たちが登場する。

 自分を拾い集めていく作業と、自分を捨てていく作業を同時進行的に行うことができる。若いときには、できなかった作業だ。自分が55年も生きるとは思っていなか
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