ぼくの脳髄はカンシャクのステップを踏む/藤原 実
。しかも口で枝をくわえ、両手を枝から離し、両脚も枝から外すとしよう。その時、樹の下に人がいて、 「禅とはいったい何であるか」と問いかけてきたとする。答えなければ問うた人に申し訳がたたない。そうかといって答えようものなら、樹から落ちていっぺんにあの世行きだ。さあ、そういう事態に直面したとき、いったいどう対応すべきか」。
(『無門関』第五則【香厳上樹】<西村恵信訳/岩波文庫> )
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さあ、この口を開いて応えれば、みずからを死地に追いやるような問いに応えてみよ、という。
このような絶対矛盾の場においてこそ、絶対の世界が開ける、という。西田幾太郎はこの
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