ぼくの脳髄はカンシャクのステップを踏む/藤原 実
択一ではない、肯定も否定も許されない答えのない問いを昼も夜もその胸に抱き続けよ、と。相矛盾するものが同時に存在してショートして火花を散らす、その火でオマエの意識を燃やし尽くせ、と。
ありきたりな有無や存在否存在、あるいは自他の区別といった相対的世界を「無」という一箇の真っ赤に焼けた鉄の球を呑み込むことで、溶かし尽くせ、という。
この理性のどんづまり、そんな「絶対無」の場においてこそ、「人間的な願望から/人並みのあこがれから、/魂よ、つまりお前は脱却し、/そして自由に飛ぶという・・・・・・」(ランボー『永遠』/堀口大學訳)。
{引用=香厳和尚が言われた、「人が樹に登るとする。し
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