未詩集1/道草次郎
息の気配さえ見せない。全てはあの時のまま、固定点は暗い森の何処かにその位置を占め続けているのである。
「おくります」
しずかな雨を
おくります
おかねのかわりで
なんですが
そらとぶ夢を
いのります
あえない身のうえ
だからこそ
ちいさなお花の
くびかざり
いつか野はらで
あみましょう
「お月見」
ひとりはふたり
なぜって
ひとりの自分がいるんだし
ふたりはひとり
なぜって
ふたりのひとりはよりひとり
どちらも
あんまりさびしくて
人恋しさに
月を見る
「予感」
雨がふりそうだ
風がつよい
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)