詩の日めくり 二〇一五年十三月一日─三十一日/田中宏輔
ぼくにわからないほど。でも、なんといっても、はじめての出会いって、いいものなんだよ。相手の意味も変わるし、ぼくの意味も変わるんだ。出合った瞬間に、なんでいままで、だれもぼくたちを出合わせてくれなかったんだろうなって思うこともよくある。しじゅう顔を合わせる連中とだけなんてぜんぜんおもしろくないよ。出合ったことのない言葉と出合って、ぼくの言葉の意味も深くなるっていうかな、広くなるっていうかな、鋭く、重くなるんだ。ぼく自身が知らなかったぼくの意味を、ぼくに教えてくれるんだ。それは、相手の言葉も同じだと思うよ。同じように感じてるんじゃないかな。ぼくという言葉と出合うまえと出合ったあとで、自分の意味がすっか
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