世界と時間に対する一つのアプローチ/朧月夜
は家具や道具としての素質、それを絵や写真を見るように眺める人にとっては静物としての素質を持った、一個の物体としてです。……ではこの時に、私にとっての「椅子」と、私ではない第三者にとっての「椅子」を同一のものたらしめている時間というものは、一体何なのでしょうか。私の推測では、これは裸の特異点であろうと考えています。私たちは時間というものを直接的に感覚はしませんし、また動かしたり伸び縮みさせたりすることも出来ません。しかし、私たちは厳然として時間というものの存在を感じています。感じ取っている、という表現のほうが正確でしょうか。ほとんど時間に支配されている、と言っても良いほど、私たちは時間というものにた
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