コミュニケーションと詩/朧月夜
 
あり方を示すのも、詩の役割、あるいは効果の一つです。人と人とのコミュニケーションとして例示すれば、触れないようにしてそっと触れる、あるいはある程度の距離を取る、といった態度も「そうでしかありえないもの」に含まれるでしょう。
「人は傷つきやすい生き物だ」という言葉が、今の時代に適切なものなのか、適切ではないものなのかは分かりませんが、時代および社会は、そうではないことを人に求めているような気がします。これは、人の集まりとしては矛盾したあり方だと言えますが、矛盾を孕んでいることも、また自然や社会の本質です。
 それゆえ、感情には発露というものがあるため、人が真に行き詰まる時は「理知」に行き詰まる時
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