コミュニケーションと詩/朧月夜
 
もに詩たり得ます。読者は、言葉の中に何らかの導を見ようとするでしょう。自分に対する語りかけを見るか、あるいは自分自身の中にある感情への処し方を見るか、読者が詩を読む場合のあり方は様々です。
 他者が人間の中に「騒」を作り出すように、詩という作品もまた、人の中に騒がしさを作り出すということは往々にしてあり得ることでしょう。しかも、その中には作者という自己、その自己の中にある他者、その自己の中にある他者の中にある他者・あるいは自己、といった幾重にも重なった階層構造が含まれています。自分の中にある何ものかを処理したい、という動機がなければ、人は独語を生み出す必要はありません。あるいは、他者に対して声を
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