コミュニケーションと詩/朧月夜
 
ら対話へと昇華することになります。人と接するという意識に欠けている言葉は、独尊を旨とする読者に対してしか響くことはありません。鑑賞に足る作品たることを求める詩は、その言葉のどこかに、人と接しようという意識がなければいけないということになります。
 人と接するということは、相手となる人の姿を自分の中に思い描くことに他なりません。そのためには、冷静に、あるいは温かくその人を見る目を持っていなくてはいけないでしょう。人を支配しようとする心が、相手の心の奥底に響き、影響を与えることはあり得ません。
 不完全な他者の把握が、そのまま不完全なコミュニケーションに、完全な他者の把握が、完全なコミュニケーショ
[次のページ]
戻る   Point(2)