コミュニケーションと詩/朧月夜
。
詩がコミュニケーションであった時代もあります。また、今もそうなのかもしれません。日本の平安時代などは、詩がコミュニケーションとほぼイコールであった時代です。政治や政界内での人間関係も、短歌を交わすことで処理されることがありました。その場合の詩は、自分自身の内にある動機であるとともに、他者への対処そのものであったでしょう。
言葉はそもそも、交わされるということにその最たる意味合いがあります。単独で発される言葉は「独語」であり、本来その人自身にとってしか意味をもちません。しかし、詩の中には独語を芸術作品にまで高めたものも多く存在します。抒情詩というのは、ある意味ではその詩人の内部の独語だと
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)