詩集1/ナンモナイデス
た
俺が穴を覗くと
七本の歯が見えた
七日で七日が終わり
俺は七日の墓を建てた
母からの贈り物
陶器の
小さな
入れ物に
小さな
ショコラが
数個綺麗な紙に
包まれて
入っていた
母が「今日はチョコレートあげる日やろ」
といってうれしそうな
顔をした
私と兄の二人に
贈ってくれた
もう27年も前のこと
兄と甘いショコラを
二人向き合い
瞳で見つめあって
ニガニガしく
たべた事を思い出す
私は未熟児で生まれた
子育ての心労からか
その二年後
母は片目を失った
オリンピックで世の中
華やいでいた頃の追憶
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