詩集1/ナンモナイデス
 
針が 愛しあい 

時を 具現化すると 

生き活き 飛びまわり 来ては去り 去っては来る 

二匹の 黒い蝶が 失われていく 

木箱の 中では 

今を ひたすら 軟らかに 惜しむ ことなく 

裂ける 〈蛹〉 が 秒 を刻む


自ら偶然でも 偶発でも かまわず 

そうした 何者かに 拘束された 

循環を 契約させられて しまった

男や女の 行き着く 楽園は


ただ古臭い 宮殿に 招かれて 

賞賛と羨望 を貪り喰う 事でも ないし 

犯罪と逃亡の 繰り返しに 辟易して

国歌が 組織する 税立暴力団に 出頭し 


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