黒豹/朧月夜
ただ貴方だけが、わたしの拠り所だった。
あなたはわたしを愛してくれた。
わたしはあなたの愛に応えられなかった。
今でも、そのことを悔やんでいる。
発されなかった言葉、
顔を見ることができなかった後悔。
わたしは黒豹だ。
人を見ることがない。
捕まえるものは、いつも獲物になるもので、
わたしはそれを喰している。
生きる意味すら分からずにいたはずなのに。
どうして生きるのか、その答えを、
わたしは知っていたろうか。
あなたは知っていたろうか。
問いに対する答えもなく、
わたしは暗闇のうちに生きている。
いつかこの空が晴れたなら、
わたしは希望を胸に抱くのだろうか。
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