黒豹/朧月夜
 

それとも空は黒いままで、
わたしは暗黒の台座に座っているのだろうか。
わたしは、黒豹。
明るい物を見ない、
わたしは愚かだ。
わたしは愚かだ。
暗黒の世界のなかで、
何物かを探している。
それは決して見つからないだろう。
それは決して見つからないだろう。
わたしはわたしが誰かも分からず、
狂いながら咆哮し、彷徨う。
いつか決して知り得なかったことを、
わたしは知りたいと願い、
わたしは手にしたいと願う。
それでも、あなたはわたしから去って、
わたしはあなたから去って、
過去の記憶だけを反芻している。
思い出は無意味だ、
それはわたしの現在に何の意味ももた
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