詩の日めくり 二〇一五年九月一日─三十一日/田中宏輔
 
にははじまりがあるような気がする。それは一つの眼差し、一つの影、一つの声であったかもしれない。それを求めて、書くこと。書くことによって、ぼくは、ぼくを獲得しようと目論んでいるのだ。なぜこんなものを書いたのかと言うと、『Sudden Fiction』に収録されているジョン・ルルーの『欲望の分析』に、「私は愛している。でも私は愛に所有されてはいないのだ」(村上春樹訳)という言葉があって、「愛」を「言葉」にしてふと考えたのだった。


二〇一五年九月十七日 「セックスとキス」


 セックスがじょうずだと言われるよりも、キスがじょうずだと言われるほうがうれしい。なぜだかわからないけど。

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