あとは 念力で/ただのみきや
真実の影らしきもの
真実の遠い背中らしきもの
すでに死んだ真実の一部を移植した
目も覆いたくなる奇形のサーカスだ
この天幕は 良い具合に破れ
薄闇がこちらを覗いている
強襲
0.5グラムの睡眠と落伍した記号
薄目の中の溺れる唖者として光は景色を指し示す
時の轍 光の仔犬
テーブルの上の冷たい太陽
山の稜線を見つめている
前頭葉に熱い靄を抱えたまま
鳥やラジオの声を吸音した
展開される十徳ナイフ
蝙蝠のめくるめく軌道
歯磨き粉を扱き出す不器用な手つきに欲情する
ような朝を夢想しながら
足の小指をぶつけて泣いた
象牙の女
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