あとは 念力で/ただのみきや
 
破産

意識の定点とその円周上を
時の天幕が覆っている
誕生のS極から
来るべき死のN極へ
時間の一方通行は意識の一方通行だ
後悔のE
憧れのW
キョロキョロくるくる回転し
ぶれながら ゆれながら
意識の定点は
本当はどこにも進んでいない
所在不明 仮のX
時の天幕と意識の円周は同じ一枚の布
天幕の外は永遠
だが永遠を意識が捉えることはい
天幕が取り去られる時
意識も流れ去る

言葉に現わせないものが真実だ
言葉が真実を名乗る時
筆者が嘘をついたのか
言葉が筆者を誑かしたのか

あらゆる虚言を用いて心象に呼び起こす
真実の匂いらしきもの

[次のページ]
戻る   Point(4)