詩の日めくり 二〇一五年八月一日─三十一日/田中宏輔
チオされたときに、「あなた、甘いわよ。」と言われるらしい。笑いながら、そうおっしゃった。その方のお話に出てきた「こん巻き」というのが食べてみたい。スジ肉を昆布に巻いて、両端を竹の皮のひもで縛り、醤油で炊いたものだそうだ。醤油で味付けした煮汁で炊くだったかもしれない。砂糖やみりんを加えていない、甘さのないものだそうだ。お話の仕方から、それが被差別部落特有の食べ物であるようだった。ぼくは知らなかったので、だいたいのところを、昆布でニシンを巻いて甘辛く煮るふつうの昆布巻きを連想した。飲み屋さんでは、もっぱら聞き役で、詩の材料とならないかと思って、聞き耳を立てている。そだ。父親の夢が出てきたけれど、父親の
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