詩の日めくり 二〇一五年八月一日─三十一日/田中宏輔
 
を持たせてくれた。
ぼくにポロシャツを着させてくれた。
ぼくにからだを拭かせてくれた。
ぼくにシャワーを浴びさせてくれた。
ぼくに靴下をはかせてくれた。
ぼくを起こしてくれた。
ぼくに歯を磨かせてくれた。
ぼくにハミガキチューブをおさせてくれた。
ぼくにハミガキチューブを手にとらせてくれた。
ぼくを洗面所まで歩かせてくれた。
火のなかで微笑むこびとの映像が思い浮かぶ。
火のなかで微笑むのはこびとじゃなくて
預言者のはずなんだけど。
いや、木歩とその友人
ぼくとエイジくんのはずなんやけど。
火のなかでこびとが微笑んでいる。
(2009年
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