詩の日めくり 二〇一五年八月一日─三十一日/田中宏輔
二〇一五年八月八日 「ひとつの頭のなかに、たくさんの時間や場所や出来事が同居している。」
あさに考えたのだけれど、むかしの記憶が頭のなかにあるということは、さまざまな時間や場所や出来事が、ひとつの頭のなかにあって、その頭が移動しているということは、さまざまな時間や場所や出来事が、頭ごとそっくり移動しているということで、たくさんの人間が移動しているということは、たくさんの頭が移動しているということなので、たくさんの時間や場所や出来事が複雑に交錯しているということなのであると思ったのだった。友だちと二人で同じ部屋のなかにいるときにでも、異なるたくさんの時間や場所や出来事が詰まった
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