詩の日めくり 二〇一五年八月一日─三十一日/田中宏輔
った頭が二つ存在しているのだ。人間の存在自体、なんだろうなって思う。時間や場所や出来事が詰まったもの。逆に、ひとつの時間や場所や出来事が数多くの人間を包含しているとも考えられるので、逆からの視点で、時間や場所や出来事を、また人間を考えてもおもしろいし、深く考えさせられる。
二〇一五年八月九日 「脳を飼う。」
猫と脳の文字が似ているような気がする。で、脳のかわりに、頭蓋骨のなかに猫を入れて、猫のかわりに、脳を飼うことにした。脳は、みゃ〜んとは鳴かないので、鳴かない脳なのだと思う。帰ってきたら、脳が机のうえで横になっていた。ぼくの姿を見ると、脳は、ゆっくりと机のうえを這ってきた。
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