リビドー/にょすけ
きぼくろがいつも卑怯だったなあなんて、
頭痛を引きずりながら水道水を体にながしこむ。
少しヒリヒリと焼けた喉に流れるそれは体内に含めてから全て私の一部だ。
解けゆく、溶けゆくそれを感じながら飲み干す。
あの子の事も飲み干したんだろうか、
それとも飲み干されたんだろうか。
がらんどうになった胃袋には、
あの子の欠片などひとつも残っていない。
しかし私も私でこの体に何かが残っているかと言えばそんなこともなく。
私はエーテル体のように漂う青春の亡霊のようなものなのかもしれない。
ただ生きている。
ただ食事をし、
ただ排泄をし、
時折セックスを貪り、
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