リビドー/にょすけ
ものを夢見の狭間に置き去りにして、
起きる為の贄にしてきたのかも知れない
眼が覚めてから一番最初に脳が思考を始めたとき。
ふと顔が浮かんだのは、昔に付き合っていた詩人の女の子の顔だった。
眠る時に胎児のように丸まって眠るあの子。うーんと歳下なのに私よりも
セックスの経験が豊富だったあの子。空気の読めないあの子。
自分の可愛さを理解していて、よくよく男に抱かれていたあの子。
私よりも高みへ行ってしまった詩人のあの子。
実の父親が人を殺して刑務所に居るんだと泣きながら話したあの子。
呆然とし何も話すことのできなかった私を何度も何度も貪ったあの子。
あの子の泣きぼ
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