No Code/ホロウ・シカエルボク
 
歩くことは出来ないで居る、それを愚かだと笑えるものなど本当はひとりとして存在していないはずさ、そうじゃない人間なんてひとりとしていない、そうじゃないみたいに芝居を打つことはできるけれどね、ああ、まるで縛り首のようだな、真夜中の時間というものは、じわじわと、ものすごくゆっくりと時間をかけて首を絞めにかかるんだ、いまではないこと、昔のことや、明日のことを山ほど並べて暗黒に落とそうと嫌な笑いを浮かべている、裁判官はこの俺の中に居る、死刑囚も、執行者も確実に俺の中に居る、みんながみんな役割を実行しようとしたら、どうする?それは一種の殺し合いだ、俺は胸壁の内側で飛び散る血飛沫の音を聞く、そいつにメロディをつ
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