No Code/ホロウ・シカエルボク
られない、もうそんなもの食べても仕方がないんだ、夜は着々と更けていく、今日を記憶した細胞がひとつずつ死んでいく音が聞こえる、泡が弾けるような音だ、目玉は天井を見つめている、あれが落ちてくるような気がする、釣り天井みたいに、俺をぺしゃんこにしようと目論んでるんだ、俺にはそのことが分かっている、たぶんハナタラシのガキの頃からさ、夜になると俺はそんな夢ばかり見てきたんだ、そんな夢を見過ぎて見過ごした夜が数えきれないほどあったんだ、いつか見たある夜の陰鬱な気分が、真昼の中に居てもずっと続いているような気がする、頑丈な幽霊のように俺に付きまとってくる、実体のないものは殴れない、人生ってほんとはいつだってそん
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