詩の日めくり 二〇一五年七月一日─三十一日/田中宏輔
 
の息の数を数えようとしたら、きみの息の香りを食べようとしたら、なんだか、うとうとしちゃって、もう、だめだ、寝ちゃうよ、……


二〇一五年七月二十七日 「湖面の揺らめき、
               その小さな揺らめきにさえ、
                 一枚の葉は……」


日の暮れて
小舟のそばに浮かぶ
ぼくの死体よ。

山陰に沈み、重たく沈む
冬にしばられた故郷の湖水よ。

湖面に落ちた一枚の葉が
その揺らめきに舞いはじめる。
その小さな、ちいさな揺らめきにさえ
揺うられゆられている。

湖水は冷たかった。
 その水は苦かった。

いまま
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