詩の日めくり 二〇一五年七月一日─三十一日/田中宏輔
学的な根拠があるわけではないけれど、ぼくは、最後のひと吐きのような気がするなあ。うん、そうだ。息を引き取るっていうのは、最後のひと吐きの息を、神さまが引き取ってくださるって意味なんじゃないかな。そういえば、人間がさいしょに吸う息って、神さまが吹き込んでくださった息のことだろうしね。違うかな。いや、そうにきまってる。ぼくたちは、神さまの息を吸って、神さまの息を吐いて生きているのだ。神さまを食べて生きているのだ。と、こう考えると、なぜだか、ほっとするところがある。うん。とか、なんとか考えてると、きみの息の数を数えるのを忘れちゃってたよ。数えてみようかな。いや、ぼくももう眠くなってきちゃったよ。きみの息
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