詩の日めくり 二〇一五年七月一日─三十一日/田中宏輔
れない気持ちになる。
おそらく、父の視線よりも、ぼくのものの方が、ずっと冷たいものであったに違いない。
二〇一五年七月二十六日 「息の数。」
眠るきみの頬の辺(べ)、ぼくがこんなに見つめているのに。ただ息をして、じっと眠りつづけている。でも、ぼくはしあわせで、きみの息の匂いをかいでいた。楽園の果実のような香りを食べていた。きみの吐く息と、ぼくの吸う息。きみの吐く息と、ぼくの吸う息。きみの吐く息を吸うぼく。きみの吐く息を吸うぼく。きみとぼくが、ひとつの息でつながっている。きみの息の甘い香りをいつまでもかいでいたい。きみをずっと食べていたい。いつまでも、いつまでも、こう
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