詩の日めくり 二〇一五年七月一日─三十一日/田中宏輔
 
こうして、ぼくのそばで眠りつづけてほしい。きみの口の辺りの、垂れ落ちたよだれに唇を近づけて。そっと吸ってみると、ぼくの唇の敏感な粘膜部分に、きみの無精ひげがあたって、こそばゆかった。こそばゆかったけど、気持ちよかった。触りごこちよかった。眉毛がかすかに動いた。醒めてるのかな。まだ眠っているのかな。わからない。わからないから、わからないままに、きみの息の数を数えることにした。でも、いったい、息の数って、どう数えるんだろうか。吸う息と吐く息をひと組にして、合わせてひとつとして数えるんだろうか。それとも、吐く息と吸う息を別々にひとつずつ数えるんだろうか。呼吸って言うくらいだから、息の数は、たぶん、吐く息
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